『神は局部に宿る~都築響一presents エロトピア・ジャパン』へ行ってきた

渋谷・アツコバルーにて開催中のイベント、都築響一presents エロトピア・ジャパン『神は局部に宿る』。

写真集『秘宝館』などの著書で氏が集めてきた全国の珍宝なもの・エロス関連を紹介するギャラリー展示。
会場はビルの5階。
会期も残りわずかとなっていたものの、おじゃまさせていただきました。
都築響一氏というと、名前はよく聞くものの、いったい何者なのかなかなか全体像の掴みどころのない人物。
『POPEYE』や『BRUTUS』の編集者。またちょっと変わった風景やモノなどを写真に収めた本の著者。
それはWikipediaの記述を見ても判るとおり、活動は多岐に亘り、大きな括りとしては「出版人」と呼ぶほうがいいのかもしれません。
出版界の巨人、あるいは奇人ですね。
浦嶋も以前、氏の著書『ラブホテル』という写真集を購入したことがあります。
エロ漫画家としては、ラブホの内装が欲しいときも多いので、資料として参考にしてたりします。
ラブホテル―Satellite of LOVE (アスペクトライトボックス・シリーズ)
今回の展示は、都築氏のこういった著書で集めた珍奇なものたちの(あくまでもほんの)一部を紹介しています。
と、いろいろとごたくを並べるより、いったいどのような主旨のイベントなのかはサイトに掲げられた都築氏の文章がありますのでそちらを引用しましょう。

会場に入ると「秘宝館」の看板が迎えてくれます。
これは、都築氏が鳥羽にあった「元祖国際秘宝館」の閉館にあたり譲り受けたものだとか。
館内に展示されている怪しげなマネキンもその鳥羽秘宝館・SF未来館に展示されていたもの。


この日は編集家・竹熊健太郎氏と共に観覧。
竹熊健太郎氏もまた出版界に居て長いキャリアを持っていますが、実は都築氏とは昨年初めてお会いしたとのこと。
同業者とはいえ顔合わせの機会がなかったというのも不思議なものです。
この展示でもパネルの多くの数を占める秘宝館に関しても、竹熊氏はかつて相原コージ氏と組んだ『サルでも描けるまんが教室』(通称『サルまん』)の取材で同様に全国の秘宝館を巡ったことがあるとのことで、かなり関心を持って展示を眺めていた様子。
竹熊さんもいそいそとスマホで撮影。

※この模様は竹熊氏のブログorツイッターなどで近日紹介の予定。(公開されたら追記します)
こちらのコーナーは上でも紹介したラブホテルの内装のパネル群。
考えてみれば、この会場のあるビルはラブホテルのメッカ・円山町に接する場所。
向かいの上り坂の通りを入れば、数知れぬほどのラブホが軒を連ねていますね。
そんな場所でこの展示が行われているというのも何か妙な感じ。
日本の誇るセックスアイコン、オリエント工業のラブドールも展示。

一家に一体は欲しい…。

展示を観賞した後、竹熊氏と話したのですが、竹熊さんはこうした日本の “アートに属さない、低俗な” エロスの世界について「キッチュ」という言葉を使い表していました。
なるほど、その括りは解りやすい説明かも。
全国の秘宝館は残念ながら現在はほぼ死滅してしまったのですが、こうして都築氏のような存在が伝承していってくれるのは貴重なことではないでしょうか。
ラブホテルやラブドールなど、日本の風俗史においてもあまり取り上げられることのない、云わばB面にすら収録されない裏の裏の世界。
そんな世の人々にはほとんど省みられないものに目を向け愛を注ぐ都築響一氏の姿勢には、常に深い畏敬の念を抱いている次第です。
我々が訪れた日もかなりの賑わいで、狭い会場に多くのギャラリーが観覧していました。
会期は今月末までの予定でしたが、急遽延長。8月7日まで開催しています。
2016年8月7日まで開催
◆火曜定休※曜日で開館時間が違うので注意
(詳細は下記サイトをチェックしてください)
都築響一 ウェブサイト「ROADSIDERS’ weekly」
この機会に都築氏のちょっと淫靡なコレクションにぜひ触れてみてみましょう。
<都築響一氏の著書>
Lucha Mascarada―pro‐wrestling masks of mexico (STREET DESIGN File)